中古
がらり、と戸を開けて漆黒の人物がそこに立っていた。
五人の視線が彼女に集中する。
「……どうしたの?」
教科書類を収めた鞄を小脇に抱えて、小柄なその人物は呟く。
沈黙が一瞬訪れたが、
「あ、黒さん。今日、何日でしたっけ?」
いきなり淳司は問う。
(馬鹿!タイミングってもんがあるでしょう!)
亜季は眉間にしわを象りそうになったが、強引に表情を無に戻す。
淳司の質問だけなら単なるド忘れか、勘違いで片付けられるのだ。ここで自分達残りの四人が怪しい態度、言動を取る方が怪しまれる。
史記は小首を傾げながら、
「そりゃあ、今日は二月十三日でしょ。バレンタインの一日前。そうだよね、総司君」