ハナ〜
「そうだ、ショウコ」
ポン、と手を軽く叩いて、
「今年はチョコ、くれないの?」
出来るだけさりげなく、聞いてみた。
ガタン、と大きな音がした。淳司が椅子から引っくり返っている。亜季はジャックを睨み、総司はせわしなく周囲に視線を走らせ、翔子は困惑したように両手をあたふたと動かしている。
「あれ?今日、バレンタインじゃなかったっケ?」
「きょ、今日は、一応、二月十三日……ってことになっている……みたいだけど……」
消え入るように翔子は呟く。
「一応?」
これに素早く反応したのは亜季だ。
「翔子、一応って、どういう意味?」
亜季は怖いと言っても良い位、鋭い目付きで翔子を睨む。
「え?それは……その……」
「昨日は何月何日だった?」
亜季の問い掛けに反応するように、引っくり返った淳司は立ち上がって真剣な顔で翔子に詰め寄る。
「ちなみに俺は……二月十三日……だったような気がする」
淳司の最後の言葉は非常に小さな声だったが、それは全員に聞こえていたようだ。
「君もかい?!」
「真島君も?!」
翔子と総司の二人は両手で口を押さえて、驚いたように小さな叫びをあげた。